- コラム
- 2025.01.16
現役大学生にとってのSNS:「深くつながるってどういうこと?」
◇ ◇ ◇
大学4年生のmomoさんに、4つのテーマで今の大学生のリアルをレポートしてもらう本コラム。第2回目の今日は、彼ら彼女たちにとってのSNS、その実際について教えてもらおうと思います。(柳田)
◇ ◇ ◇
SNSは今や私たち若者にとってなくてはならないツール。そんな生活必需品であるSNSを若者はどう使いこなしているのか、現役大学生の私が紹介します!
常に誰かとつながっているのが当たり前
小学生の頃からメールやLINEというものに触れていた私たちにとってSNSはあって当たり前のもので、はじめましての人に会ったら必ずインスタグラムのアカウントを訊くくらいには、SNSは生活の一部となっています。 このような生活の中でSNSが私たちにもたらしたのは、なんと言っても(良くも悪くも)人とのつながりでしょう。少しスマートフォンをいじれば、10年前の友人に簡単に連絡ができますし、クラスメイトが今何をしているかもわかります。
これには良い面と悪い面があります。良い面としては、人との縁を保ちやすくなったことが挙げられます。私自身、小学生の頃とは違う土地に住んでいるのにも関わらず、当時の友人と未だに仲良くできています。これはSNSが私たちをつないでくれているおかげです。一方で、SNSがあると、常に他者の存在を意識せざるを得ません。例えば、「人の楽しそうなインスタのストーリーと自分の生活を比べて病む(元気がなくなる)時がある」とこぼす友人も多く、他者の様子を容易に把握しやすいSNSがあるからこそ生まれる悩みだと感じます。
「自分を魅せる場」としてのInstagram、「仲良しの証明」としてのBeReal.
SNSは私たちにとってコミュニケーションの場でもあり、自己ブランディングの場でもあります。色々な人とつながっているからこそ、自分がどういう存在として見られているかが気になるのです。それでは、私たちはたくさんあるSNSをどのように使い分けているのでしょうか?
自己ブランディングのツールとして1番使われているのはInstagramです。写真がメインなのでイメージを管理しやすく、「自分はこういう人だ」と他者にわかりやすくアピールする名刺代わりのような役割を果たしている印象があります。それだけ他者に対してオープンなSNSであり、(特定の相手ではなく)世間一般から「こういう自分に見られたい」という思いを叶える場となっているのです。
対照的なのはBeReal. やLINEです。この2つはかなり仲良くなってからアカウントの交換をするクローズドな場で、コミュニケーションツールとしてのイメージが強くあります。特にBeReal.はここ2年ほどで急速に広まったSNSですが、写真がメインというのはInstagramと共通しているものの、キラキラした自分を演出するというよりは名前の通り飾らない無加工の写真しか載せられないというのが大きな特徴です。それに伴い、公開範囲も狭く本当に仲の良い人としかアカウントを交換しない人がほとんどです。そのため、BeReal.を交換している相手との間には「飾らない無加工の姿を見せられる/見せてくれる相手」として親密感が湧きやすいように思います。いわば、無加工の写真を媒体にした「仲良しの証明」の場なのです。
多くの人に自分をアピールするのではなく、本当に親しい相手と思い出を共有する
ここまで、現役大学生のSNSの使い方について紹介してきました!そして、これらのことに加えて私が若い世代のSNS事情について関して感じているのは、明らかに使い方が変わってきているということです。
私たちがSNSを使い始めた10代前半の頃は、InstagramをはじめとしてオープンなSNSが急速に広がりを見せていました。しかし最近は、もっと少数で交流できるBeReal.などの閉じられたSNSが出てきており、そのクローズドさにこそ面白みを見出す人も多くいます。また、使い方自体も、これまでのようにとにかく多くの人に自分をアピールするのではなく、本当に親しい相手と思い出等を共有するための使い方をする人が増えてきていると強く感じます。
私自身もそうで、毎年クリスマスにSNSにあげる写真がその変化を象徴的に表しています。大学低学年の時はInstagramのストーリーにイルミネーションやちょっと良いレストランをアップして見栄を張りたくなっていましたが、今回のクリスマスは、Instagramよりずっと小規模なBeReal.に、ずっと行きたかった美術館に行った写真をアップしました。キラキラした夜景等と比べるとラグジュアリー感には欠けますが、親しい友人たちは美術館が私の趣味であることを知っているので、楽しかったことを理解してくれるだろうと思ってアップしたのを覚えています。
このように、SNSを使っている以上、他人がその投稿を見てどう思うかは気にしますが、その基準が「たくさんの人に良く見られたい」という従来の気持ちから、「親しい友人に飾りすぎない自分自身のことを共有したい」という思いに変わっていったように思います。このような変化が私だけでなく周囲全体で起きており、SNSの使い方は今過渡期にあるのだなあということを最近感じています。
これらのことを踏まえて、私は、これからはSNSによる人とのつながりの形が変わっていくのではないかと思っています。現に今、「物理的に離れていても相手を身近に感じることができる」という昔から変わらないSNSの価値がありつつも、その“相手”を誰に定めていくかは時代の進化と共に変わってきています。そしてこれからはSNSによって構築される関係は、今までのように広く浅く広がるもののみではなく、狭く深くの関係が作られることも求められていくのではないでしょうか。
今回は、現役大学生がどのようにSNSを使っているのかを紹介しました!
今となってはもう生活の一部となったSNSが新しくどんな変化を遂げて私たちに新しい価値を届けてくれるのかを楽しみにしつつ、これからも楽しんで使っていきたいと思います!