- コラム
- 2025.02.21
大学生と生成AI:「生成AIは魔法のアイテム?単なるツール?」
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大学4年生のmomoさんに、4つのテーマで今の大学生のリアルをレポートしてもらう本コラム。3回目となる本稿は、いま急速に身近なものになりつつある生成AIについて、デジタルネイティブでもある彼ら彼女たちのリアルな使い方を教えてもらいます。(柳田)
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数年前に突如世界に現れた生成AI。その技術は日進月歩で日々発展していますが、世代によってその使い方はバラバラ。それでは今回は、私たち大学生がどのように生成AIを使っているのか紹介したいと思います!
生成AIは「使って当たり前」のもの
ChatGPTがリリースされたのは2022年。たった数年前に突如現れた生成AIですが、あっという間に大学生の生活に組み込まれていき、今となっては大学生活に欠かせない存在になっています。例えば、授業レポートの執筆。ChatGPTが登場した当初私は大学2年生でしたが、技術が現れてすぐ「自分が執筆したレポートを読み込ませ要旨はAIに書かせる」「データは人力で集めて計算はAIにやらせる」など、効率化に着目したいわゆる“楽をするためのライフハック”としての生成AIの利用法が学生の間で共有され始め、じわじわと使用人数が増えていくのを肌で感じていました。そして3年生になる頃には、「生成AIの使用は一切認めない/一部認める」といったように授業レポートの執筆要項に生成AIについての記載がされるようになりました。そう、たった1年で注意書きが必須になるくらい、多くの学生が生成AIを使うことが当たり前になっていたのです。
それでは、私たちは生成AIの利用を通して何を得ようとしているのでしょうか?なぜこんなにも生成AIは受け入れられているのでしょうか?次の章で分析してみましょう。
就活のサポートから旅行のプランニングまで!生成AIは“魔法のアイテム”?
授業レポートの他にも、私たちはさまざまな場面で生成AIに助けられています。就活の際にESや面接の原稿の添削をさせたり、条件だけを指示して具体的な旅程はChat GPTに組ませたり。例を挙げればキリがありません。そして、生成AIが公私問わずここまで私たちの生活の一部となっているのは、効率化を超えた価値があるからこそだと私は考えています。具体的には、複合的なものの中のベストバランスを探ってより良いパフォーマンスを発揮させてくれるという価値です。
例えば旅程。以前旅行のプランを決めるときに生成AIを利用したことがあるのですが、とても便利でした!旅程を決めるには行きたい場所・予算・時間等さまざまな要素を鑑みなくてはならず面倒だなと思っていたのですが、生成AIを使うことでその労力を使うことなく、抜け漏れのない正確で良いプランを立てることができました。そしてそのおかげで、旅行当日も無駄なく時間を目一杯使って、観光を楽しむことができました。
このように、複雑な要素があったとしても正確で抜け漏れのない作業をしてくれる生成AIは、普段からコスパやタイパを重視している若い世代にとっては、人間が高いパフォーマンスができるよう助けてくれるのでとてもありがたい存在です。一方で、この「正確さ」こそがAIの強みでもあり、弱みでもあります。先ほどと同じ旅程の例を用いて説明しましょう。
実は先の旅行の時、最初にAIが提案してくれた効率の良い観光スポットの回り方から変えた部分がありました。確かにその道を通ると効率は悪くなってしまうのですが、私たちには観光名所ではないものの通りたい思い出の道があったためです。生成AIは、こういった一見不合理だけれどあったら嬉しい「あそび」のような感性を持ち合わせていないので、作ってくれたものそのものを受け入れるのが適していない場合もあるようです。
このように、最初は万能なものに見えた生成AIにも向いていることとそうではないことがあるということが明らかになるにつれ、生成AIは頼りさえすれば何か完璧なものが生まれる“魔法のアイテム”などではなく、あくまでツールに過ぎないという意識が根付いてきました。
これからの私たちと生成AIの関係
ここまで、生成AIが若者に広く受け入れられ公私問わず広く受け入れられているのは、複合的なものの中でも人間により良いパフォーマンスをさせてくれるからこそだということを明らかにしてきました。またその一方で、生成AIは物事の1から10までを任せられる万能なものではなく、あくまで道具として部分的に使うのが良さそうだということにも触れてきました。
それでは、これからツールとしての生成AIを私たちはどう使っていくのでしょうか?デジタルネイティブとして物心ついた時から新しいIT技術に触れてきた若い世代は、生成AIに対しても気構えることなくすぐに受け入れることができました。だからこそ、レポートやES、旅程の例のように、新しい技術をどんどん自分仕様にアレンジして生活の一部としてきたし、これからも使い続けていくでしょう。
しかしその過程の中で、もしかしたらここはAIは要らないな、という場面が出てくるかもしれません。技術が生活に馴染む過渡期であったここ数年は「とりあえずどんな場面でも使ってみる」というスタイルでしたが、これからは使うべきところとそうではないところを見極めていくのが必要になってくると私は思います。それが、“魔法のアイテム”ではなく“ツール”として使うということであり、それができて初めて「使いこなせている」と言えるはずです。
その新しさゆえに使い方が確立されておらず、まだまだ手探り状態が続く生成AI。今回はそんな生成AIが若い世代の間でどのような存在として受け入れられ、使われているのかということについて掘り下げてみました。いかがでしたか?これからも日進月歩で発展を続ける生成AIの変化を楽しみにしつつ、見守っていきたいと思います!